多くのインターネットユーザーが、サイバー犯罪者の脅威から身を守るために適切なツールを使いこなしていないことが、ナショナル・プライバシー・テストを通して明らかになりました。国によってテストの点数は異なりますが、NordVPNの調査によると、日本のユーザーはナショナル・プライバシー・テストのほとんどの項目で成績が悪かったという結果が出ています。
この記事では、ナショナル・プライバシー・テストの概要と、テストの結果、プライバシーを強化する方法について解説します。
ナショナル・プライバシー・テスト(NPT)とは、オンラインプライバシーとサイバーセキュリティに関する世界的な意識レベルを把握することを目的としたテストのこと。デジタル時代におけるサイバーリスクやデータ・情報セキュリティの重要性について、一般の人々に啓蒙することを目指しています。
また、このテストを通して、詐欺やネットいじめ、監視、追跡型広告、個人情報の盗難、マルウェアなど、オンラインで遭遇するさまざまな問題から個人情報や自分のデバイスを守るためのヒントを提供しています。
NordVPNでは、2020年11月に実施されたナショナル・プライバシー・テストの結果を分析しました。このテストには、世界192カ国から計48,063人の回答者が参加しています。主要21カ国の中で、日本は最下位のスコアとなりました。
このテストでの日本の平均点は100点満点中44.4点と、世界平均(65.2点)を大きく下回っており、日本の回答者は全項目の半分も正解できていないということになります。
日本は、人口の91%がインターネットを利用していて、世界で最も技術的に進んでいる国のひとつですが、セキュリティの習慣やオンラインプライバシーに関するスキル・知識に関しては、他の国に比べて遅れをとっているようです。
ナショナル・プライバシー・テストで成績が悪かった回答者の約半数が、閲覧履歴を削除するとインターネット利用に関する記録は消えると考えています。しかし実際には、ウェブサイトやインターネットサービスプロバイダー、さらには政府までもが、ユーザーが閲覧履歴を消去した後でも個人の閲覧データを監視することができるのです。
また、テスト回答者の38%が、オンラインプライバシー改善のためのツールを識別できませんでした。インターネットユーザーの多くが、プライバシーポリシーを読まずに同意したり、ソーシャルメディアで過剰に情報をシェアしたりしていますが、犯罪者が個人情報を使って何をするのかはきちんと理解していません。
サイバー攻撃は年々増加しており、悪意のある第三者が私たちのプライバシーを脅かしています。今回の調査結果で、あまりにも多くの人がハッカーやデータ窃盗犯の格好の標的となってしまっていることが明らかになりました。幸いなことに、セキュリティの強化は特別難しいわけではなく、誰にでも実践できます。